第1回韓日うさぎ獣医学会

JCRA共催の韓国と日本のウサギを診察する獣医師の学会

2023年10月22日(日曜日)に韓国のソウルにて第1回韓日うさぎ獣医学会が開催されました。会場はソウル駅となりの孔徳駅に隣接するロッテシティホテル麻浦でした。東京から飛行機で2時間30分で仁川国際空港に到着し、空港から地下鉄で1時間(金浦空港からだと約30分)で到着しました。沖縄に行くのとほとんど変わらない距離感ですね。ホテルの立派な会議室を借りて学会は行われました。

学会の内容は?

学会開催の目的は、韓国と日本のペットウサギの診療レベル向上と両国の懇親になります。当初はどんな感じになるか全く分からず、今回は初めての開催なため、正直手探り状態でした。会議での講演内容は、韓国側からは主催のイ・ミンウ氏(アニマルケア代表)による【韓国と日本のペットのウサギ市場の違い】、韓国で最もウサギを診察しているイム·ジェギュ獣医師(RAY動物病院院長)による【ウサギの心臓エコー検査の基本】の講義が行われました。

イ・ミンウ氏

イム·ジェギュ獣医師

そして、日本代表としてJCRA代表理事の霍野晋吉による【ウサギの不正咬合の処置】【ウサギの斜頸】でした。

それぞれの講義において、獣医師同士の質疑応答が行われました。ウサギは獣医大学で全く勉強できないことは韓国と日本の立場は同じでした。韓国ではエンセファリトゾーンの検査はできないそうです。日本で行われている神経症状や不正咬合ウサギのCTやMRI検査について韓国の先生たちは大変興味を持たれていました。なごやかな雰囲気でありながら、両国の獣医師による熱い論議もなされました。
なお、今回学会に同伴された日本人の獣医師でない御家族の方々は、昼の学会の時間帯にソウル市内の観光に招待され、朝鮮王朝の王宮である景福宮(キョンボックン)見学や仁寺洞(インサドン)での買い物などで満喫していました。

韓国でウサギは飼われているの?

もちろんです。しかしながら、ウサギ専門ペットショップはありません。ウサギの診察が可能な動物病院も数少ないのは事実です。しかし、ウサギをとても可愛がっている飼い主さんは多く、病気になると動物病院を探すところから大変だそうです。そこで、韓国のウサギ事情に最も詳しい、ウサギ飼育グッツやフードを輸入販売しているアニマルケア代表のイ・ミンウ氏が発起人として学会を立ち上げる運びとなりました。

日本からの参加メンバーは?

JCRAマスター検定1級の獣医師と2級の動物看護師の先生たちが中心となり、日本全国各地からソウルに結集しました。しかし、学会が初対面の先生が大半というのも驚きました。日頃の診察業務の後、朝の4時にソウルに着いて10時からの学会に参加した熱心な先生もいました。

学会は上手くいったの?

はい、学会は大成功できました。昼食はもちろん、夕食も一緒にして、皆で熱い夜も過ごしました。ほぼ全ての日本人の先生たちはハングル語が話せませんし、韓国の先生たちも日本語ができません。参加者たちはスマホの翻訳機とお酒の力を借りて積極的に交流をしていました。韓国の獣医師の先生方もとても感じがよく、紳士的な印象を受けました。そして、我々日本人に積極的に話しかけてくれたことが、嬉しかったですね。隣国でありながら、遠い国という印象もなくなり、同じアジア人として一緒に勉強しようという気持ちになりました。

来年以降の開催予定は?

毎年、韓国(あるいは東京)での開催を考えています。ウサギの獣医学はもちろん獣医学全般の交流に繋がるでしょう。JCRAも共催という立場で、本学会を支援をしていく予定です。

まとめ

学術交流だけでなく、韓国と日本の獣医師のお互いの尊敬という念をもち、深い交流ができたことができました。韓国のウサギを診察している獣医師の印象は、レベルが高く、向上心の塊で、日本の獣医師を圧倒したかもしれません。これまでは欧米からウサギの情報を得てましたが、器用で勉強熱心な韓国と日本でも、世界のウサギの獣医学を率先できると感触も得ました。今回訪韓して学会に参加した日本の獣医師たちも、明日からの診療の励みになったと思います。

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